Blazor02

BlazorでのWebアプリケーション開発手法2【C#】B08_MessageServiceを作成する

これまでのレクチャーでは、Home.razorのコード内で「MessageBoxAlert」「MessageBoxConfirm」「MessageBoxPrompt」といった文字列を直接指定してJavaScriptの関数を呼び出す形でメッセージを表示していました。しかし、この方法には次のような問題があります。

・文字列でメソッド(JavaScript関数)名を指定するため、タイプミスに気づきにくくIntelliSenseの補完も効かない ・テストコードの観点から見て、実際にブラウザのメッセージボックスがポップアップしてしまう実装をそのままテストで実行するのは現実的ではない

そこで今回は、これらのメッセージ表示処理を「MessageService」というクラスにまとめ、インターフェース(IMessageService)を介して呼び出せるようにします。インターフェースを挟むことで、本番実行時は実際にブラウザのメッセージボックスを表示する実装を使い、テスト実行時は文字列を受け取って記録するだけの差し替え可能な実装を使う、といった切り替えができるようになります(テストコードやDIの詳細については、ドメイン駆動設計のコースやテストコードのコースを参照してください)。

図1 Login()メソッド内で文字列を直接指定してMessageBoxPromptやMessageBoxAlertを呼び出している既存のコード

Servicesフォルダーとクラスの作成

まず、Componentsフォルダーの下に「Services」という名前のフォルダーを新規作成します。サービスを置く場所に厳密な決まりはありませんが、今回はこのフォルダーにまとめることにします。

図2 ソリューションエクスプローラーでComponentsフォルダー配下にServicesフォルダーを作成する

作成したServicesフォルダーを右クリックして新しい項目を追加し、クラス名を「MessageService」としてファイルを作成します。

図3 「新しい項目の追加」ダイアログでMessageServiceクラスファイルを作成する

図4 作成直後のIMessageServiceインターフェースとMessageServiceクラスの雛形

インターフェースにメソッドを定義する

テストの観点からは、インターフェース越しに呼び出せるようにしておいた方が都合が良いため、まず public interface IMessageService を用意します。この中に、外部から呼び出したいメソッドを3つ定義します。

1つ目は、Home.razorで使っていたMessageBoxAlertに対応するメソッドです。voidなので戻り値はなく、非同期メソッドとして定義するためTask型、引数はstring型のmessageを受け取ります。

図5 IMessageServiceインターフェースにTask MessageBoxAlert(string message)を定義した状態

ただし、クラス名がすでに「MessageService」なので、メソッド名に重ねて「MessageBox」と付けるのは冗長になります。そこでメソッド名は「Alert」に短縮しました。続けて、Confirm(戻り値bool、非同期なのでTask<bool>)とPrompt(戻り値string、非同期なのでTask<string>)も同様の考え方で定義します。

public interface IMessageService
{
    Task Alert(string message);
    Task<bool> Confirm(string message);
    Task<string> Prompt(string message);
}

 

図6 AlertとConfirmのメソッド定義。MessageBoxAlertからAlertへ名称を短縮している

図7 Alert・Confirm・Promptの3メソッドを定義し終えた状態(IntelliSenseでTask<TResult>の説明が表示されている)

MessageServiceクラスへの実装

インターフェースに定義を書いたら、実際の処理はMessageServiceクラス側に実装します。MessageServiceクラス宣言に「: IMessageService」を付けてインターフェースを実装する形にし、Visual Studioの「Ctrl + .」(クイックアクション)を使うと、未実装のメンバーを自動的にスタブとして生成してくれます。

図8 MessageServiceクラスにIMessageServiceを実装する宣言を追加した状態

図9 Ctrl+.(クイックアクション)でAlert・Confirm・Promptの3メソッドが自動生成された状態(中身はNotImplementedException)

なお、今回はインターフェースと実装クラスを同じファイルに記述していますが、これは説明の都合上まとめているだけで、後で別々のファイルに分割する想定です。

Alertメソッドを実装する

実際の処理内容は、これまでHome.razorに書いていたコードをそのまま持ってくれば作れます。Home.razorの警告メッセージ(例えば「認証失敗!!」を表示している箇所)を確認します。

図10 Home.razorでMessageBoxAlertを使って「認証失敗!!」を表示している箇所

この呼び出し部分をAlertメソッドの中にそのまま貼り付け、固定文字列だった「認証失敗!!」の部分を引数のmessageに置き換えます。ただし、Home.razorでは@inject IJSRuntime JSのようにJSがすでに注入されていましたが、MessageServiceクラスにはその仕組みがありません。そこで、コンストラクターでIJSRuntimeを受け取るようにします。

図11 Alertメソッドの中にJS.InvokeVoidAsyncの呼び出しを貼り付けた直後(JSが未定義のためエラーになっている状態)

IJSRuntime型のフィールドを小文字始まりの _js としてprivateで保持するように宣言します。

図12 private IJSRuntime _js; フィールドを追加する

このフィールドをコンストラクターの引数として受け取るようにしておくと、Razorコンポーネントで@injectを使ったときと同じように、DI(依存性注入)の仕組みによって自動的にインスタンスが渡されるようになります。

図13 コンストラクターMessageService(IJSRuntime js)でIJSRuntimeを受け取り、_jsフィールドに代入する実装

あとは、JS.InvokeVoidAsyncとしていた箇所を _js.InvokeVoidAsync に書き換え、Alertメソッドをasyncにしてawaitできるようにすれば完成です。

図14 JSを_jsに置き換え、_js.InvokeVoidAsyncでメッセージを表示するAlertメソッドの完成形

public async Task Alert(string message)
{
    await _js.InvokeVoidAsync("MessageBoxAlert", message);
}

Confirmメソッドを実装する

同じ要領で、Confirmも実装します。Home.razorのSave()メソッド内で「保存しますか?」という確認メッセージを表示している箇所を確認します。

図15 Home.razorのSave()メソッド内でMessageBoxConfirmを使って「保存しますか?」を表示している箇所

この呼び出し部分をConfirmメソッドにコピーし、固定文字列だった「保存しますか?」を引数のmessageに置き換えます。戻り値があるため、JS.InvokeVoidAsyncではなくJS.InvokeAsync<bool>を使い、その戻り値をそのままreturnします。JSは同様に_jsに置き換え、非同期メソッドとしてasyncを付けます。

図16 Confirmメソッドの実装。return await _js.InvokeAsync<bool>(“MessageBoxConfirm”, message)で結果をそのまま返す

public async Task<bool> Confirm(string message)
{
    return await _js.InvokeAsync<bool>("MessageBoxConfirm", message);
}

Promptメソッドを実装する

最後にPromptです。考え方はConfirmと同じで、Home.razorでMessageBoxPromptを呼び出している箇所をコピーしてきます。戻り値がstring型になるため、JS.InvokeAsync<string>を使い、その結果をそのままreturnします。

図17 Home.razorのPrompt呼び出し箇所を確認し、Promptメソッドの実装に取り掛かる

public async Task<string> Prompt(string message)
{
    return await _js.InvokeAsync<string>("MessageBoxPrompt", message);
}

完成したIMessageService / MessageService

以上で、IMessageServiceインターフェースと、それを実装するMessageServiceクラスが完成しました。

図18 完成したIMessageServiceインターフェースとMessageServiceクラス(コンストラクターでIJSRuntimeを受け取る)

using Microsoft.JSInterop;
 
namespace BlazorApp1.Components.Services
{
    public interface IMessageService
    {
        Task Alert(string message);
        Task<bool> Confirm(string message);
        Task<string> Prompt(string message);
    }
 
    public class MessageService : IMessageService
    {
        private IJSRuntime _js;
 
        public MessageService(IJSRuntime js)
        {
            _js = js;
        }
 
        public async Task Alert(string message)
        {
            await _js.InvokeVoidAsync("MessageBoxAlert", message);
        }
 
        public async Task<bool> Confirm(string message)
        {
            return await _js.InvokeAsync<bool>("MessageBoxConfirm", message);
        }
 
        public async Task<string> Prompt(string message)
        {
            return await _js.InvokeAsync<string>("MessageBoxPrompt", message);
        }
    }
}

なお、インターフェースと実装クラスを同じファイルにまとめて記述しているのは説明の都合上の暫定措置です。どのように画面(Home.razor)へ適用し、DIコンテナへ登録するかについては、次回のレクチャーで扱います。

BlazorでのWebアプリケーション開発手法2【C#】

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