C#でのenumの使い方を考えていきましょう。
Enumの使い方
enumは数値で区分を表すときに使用されます。
例えば「アナログ単位」という区分があり
温度は「0」,電流は「1」,電圧は「2」という仕様が決まっている場合
C#のコードでは次のように書くことができます。
// アナログ単位 public enum AnalogUnit { // 温度 Temperature = 0, // 電流 ElectricCurrent = 1, // 電圧 Voltage = 2, }
このように書くと
AnalogUnitに続けて「.」ドットを打ち込むと
TemperatureとElectricCurrentとVoltageがインテリセンスに表示されるため
コーディングしやすくなる。
if文なので使用する場合は次のような感じで使用します。
private AnalogUnit _analogUnit = AnalogUnit.Temperature; private void button8_Click(object sender, EventArgs e) { if(_analogUnit == AnalogUnit.Temperature) { button8.Text = "温度"; } }
昔はenumがなかったので
区分の固定値は次のように記述していました。
public const int Temperature = 0; public const int ElectricCurrent = 1; public const int Voltage = 2;
しかし,この書き方だと,どこまでが一つのグループ(区分)なのかが
明示的に示されていないため,enumを使用したほうがよいと思います。
ValueObject
しかし,enumで表せるのは数値だけなので
AnalogUnitのTemperatureは「0」という事だけしか
コードで表現できません。
Temperatureのときの「単位は℃」「小数点以下表示桁数は2桁」などを
表現しようとするとenumではできません。
データベースの中に数値で格納されている区分の多くは
このように区分「0」のときどのように動作するか?
という仕様が詰まっています。
C#ではそのような仕様をコードで表現することが
より良いコーディングであると思います。
私はデータベース上の区分を
C#で取り込むときは次のようにクラスを記述し,ValueObjectと呼んでいます。
public sealed class AnalogUnit { public static readonly AnalogUnit Temperature = new AnalogUnit(0); public static readonly AnalogUnit ElectricCurrent = new AnalogUnit(1); public static readonly AnalogUnit Voltage = new AnalogUnit(2); public AnalogUnit(int value) { Value = value; } public int Value { get; } public string DisplayValue { get { if (this == Temperature) { return "温度"; } if (this == ElectricCurrent) { return "電流"; } return "電圧"; } } public string UnitName { get { if (this == Temperature) { return "℃"; } if (this == ElectricCurrent) { return "A"; } return "V"; } } public override bool Equals(object obj) { var vo = obj as AnalogUnit; if (vo == null) { return false; } return this.Value == vo.Value; } }
序盤の3つの読み取り専用の変数が,3つの区分を表しています。
public static readonly AnalogUnit Temperature = new AnalogUnit(0); public static readonly AnalogUnit ElectricCurrent = new AnalogUnit(1); public static readonly AnalogUnit Voltage = new AnalogUnit(2);
AnalogUnitクラスの中に,3つのpublicでstaticなAnalogUnitクラスを宣言し
それぞれに対応区分でインスタンスを生成しています。
readonlyのため,インスタンス生成後は変更できないので
完全コンストラクターパターンになります。
そしてこのクラスは区分の値保持用に
Value変数のみが存在しています。
public int Value { get; }
AnalogUnitクラスを生成するときに
区分を引数としてあたえれば,
あとは二度と変更できないクラスとなり,
DisplayValueやUnitNameを取得することで
区分ごとのふるまいを一元管理するクラスを
作ることができます。
データベースから取得する区分は
いろいろな仕様を持つことが多いので
それをいろいろなクラスで実装すると
同じようなコードが散らばり始めます。
こういったValueObjectクラスを作ることで
コードが一か所に集まります。
ですからアプリケーション全体で
統一する必要のある区分は
enumではなくValueObjectで表現しています。
enumの使いどころ
それではenumの使いどころはないのか?
ってことになりますけど,
データベースとかが絡まない
アプリの中で完結するような使い方では
効果があると思います。
private void button8_Click(object sender, EventArgs e) { Insert(UpdateMode.Insert); } public enum UpdateMode { Insert, Update, } public void Insert(UpdateMode mode) { if(mode == UpdateMode.Insert) { } else { } }
このように,本当に区分としてしか
機能がないようなものはenumを使うと効果的です。
要するに,ビジネスロジックのない区分のときって感じです。
今回は少々長くなりましたが,enumと
ValueObjectでの区分の表現の仕方に関する解説は以上となります。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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#26_さいごに
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