前回に続いて、List<T>のコンストラクターを見ていきます。List<T>のコンストラクターには、引数なしのもの、IEnumerable<T>を受け取るもののほかに、int型の引数を1つ受け取るものがあります。この引数には「capacity」という名前が付いています。今回は、このcapacityが何を意味しているのか、そしてどんなときに指定するのかを確認していきます。
int型の引数を受け取るコンストラクター
まず、新しくdListという変数を用意して、List<string>を生成してみます。new List<string>( と入力したところでシグネチャのツールチップを確認すると、オーバーロードの2番目に「List<string>(int capacity)」が表示されます。
図1 List<string>(int capacity) のコンストラクター
説明文には「The number of elements that the new list can initially store」とあり、新しいリストが最初に格納できる要素数を指定する引数であることがわかります。ここでは5を指定しておきます。
var dList = new List<string>(5); //内部的には配列で、それを使いやすくしたのがList<T> //あらかじめ少し多めに領域を確保して、 //Addのたびにリサイズしなくていいようにしているという狙い
List<T>の内部は配列
capacityを理解するには、List<T>の中身を知っておく必要があります。List<T>というのは、配列を使いやすくしたものです。内部的には配列を持っています。
図2 内部的には配列で、それを使いやすくしたのがList<T>
配列は、値を追加したり削除したりするのが面倒だという話をこれまでにしてきました。要素数が固定なので、増やしたいときにはArray.Resizeなどで作り直す必要があったわけです。そのあたりをやりやすくしてくれているのがList<T>ですが、中で使っているのはやはり配列です。
そこでList<T>は、内部の配列をある程度多めに確保しておくという作りになっています。Addされるたびに毎回Resizeしていたのではパフォーマンスに悪いので、あらかじめドカッと領域を取っておき、「実際に使っているのは何件」「確保している領域は何件」という2つの数字を別々に管理しているのです。
図3 Capacityのイメージ(3件使用中、領域は5件分)
上の図でいえば、値が入っているのは「AA」「BBB」「C」の3件ですが、領域としては5件分が確保されています。この「実際に使っている件数」がCount、「内部的に確保している領域の件数」がCapacityです。
CountとCapacityを確認する
それでは実際に動かして確認してみます。capacityに5を指定した状態で実行し、ウォッチウィンドウにdList.CountとdList.Capacityを登録します。
図4 Countは0、Capacityは5
まだ1件もAddしていないので、Countは当然0件です。一方でCapacityは5になっています。これが内部的に確保している領域で、実際に使っているのは0件、ということです。コードで書くと次のようなイメージになります。
var dList = new List<string>(5); var count = dList.Count; // 0(実際に使っている件数) var capacity = dList.Capacity; // 5(内部的に確保している領域)
capacityを指定しない場合は自動拡張される
次に、引数の5を消して、capacityを指定しない形にしてみます。指定しなかった場合は、必要に応じて勝手に拡張されるようになっています。確認のために、Addを1行追加してブレークポイントを置きます。
var dList = new List<string>();
//内部的には配列で、それを使いやすくしたのがList<T>
//あらかじめ少し多めに領域を確保して、
//Addのたびにリサイズしなくていいようにしているという狙い
dList.Add("AAA");
図5 capacityを指定せず、Addを1行追加したコード
この状態で実行し、Addの手前で止めてウォッチウィンドウを見ると、CountもCapacityも0になっています。
図6 Add前はCountもCapacityも0
ここからステップ実行でAddを1回実行します。
図7 1件AddするとCountは1、Capacityは4になる
Countは1になり、Capacityは4になりました。1件追加しただけですが、領域は4件分が確保されています。このように少し多めに取っておいて、それを超えるときにまたリサイズしてくれる、という作りになっているわけです。
var dList = new List<string>();
// Count = 0, Capacity = 0
dList.Add("AAA");
// Count = 1, Capacity = 4(少し多めに確保される)
つまり、何もしなければ基本的には自動拡張されます。普段のプログラミングでcapacityを意識する必要はありません。
capacityを指定したほうがよい場面
では、どんなときにcapacityを指定するのかというと、パフォーマンスが出ない場合です。たとえば1万件というように、大量にAddすることがあらかじめわかっている場合を考えてみます。自動拡張にまかせていると、領域が足りなくなるたびにこまめにリサイズが発生し、その分パフォーマンスが落ちてしまいます。
そういう場合は、コンストラクターの引数に1000や10000といった値を書いておきます。
図8 capacityに10000を指定する
var dList = new List<string>(10000);
こうしておくと、内部的には最初から10000件分の配列がドカッと準備されるので、途中でリサイズが発生しなくなり、その分パフォーマンスが上がる可能性があります。コードにも次のようにコメントを残しておきます。
dList.Add("AAA");
//基本的には指定しなくていいが、
//パフォーマンスが出ない場合、
//この値を、必要な値で最初から確保しておけば、
//チューニングできる可能性がある。
図9 基本的には指定しなくてよいが、チューニングの手段になる
まとめると、capacityは基本的には指定しなくてかまいません。ただし、パフォーマンスが出ないときに、必要な分量を最初からドカッと取っておけばチューニングできる可能性がある、ということを覚えておいてください。
capacityを超えてAddするとどうなるか
最後に、指定したcapacityを超えてAddした場合の動きを確認しておきます。capacityを5に戻し、”11″から”66″までの6件をAddするコードにします。領域は5件分ですが、Addするのは6件です。
var dList = new List<string>(5);
//内部的には配列で、それを使いやすくしたのがList<T>
//あらかじめ少し多めに領域を確保して、
//Addのたびにリサイズしなくていいようにしているという狙い
dList.Add("11");
//基本的には指定しなくていいが、
//パフォーマンスが出ない場合、
//この値を、必要な値で最初から確保しておけば、
//チューニングできる可能性がある。
dList.Add("22");
dList.Add("33");
dList.Add("44");
dList.Add("55");
dList.Add("66");
図10 capacityを5にして6件Addするコード
実行して最初のAddの手前で止めると、Countは0、Capacityは5です。ここまでは先ほどと同じです。
図11 Add前はCountが0、Capacityが5
ここからステップ実行で1件ずつAddしていきます。5件目のAddが終わった時点では、Countが5、Capacityも5です。確保した領域をちょうど使い切った状態で、Capacityはまだ変わっていません。
図12 5件目まではCapacityは5のまま
そして6件目のAddを実行します。
図13 6件目のAddでCapacityが10に拡張される
Countが6になり、Capacityは10に拡張されました。値の変化を整理すると次のようになります。
var dList = new List<string>(5); // Count = 0, Capacity = 5
dList.Add("11"); // Count = 1, Capacity = 5
dList.Add("22"); // Count = 2, Capacity = 5
dList.Add("33"); // Count = 3, Capacity = 5
dList.Add("44"); // Count = 4, Capacity = 5
dList.Add("55"); // Count = 5, Capacity = 5
dList.Add("66"); // Count = 6, Capacity = 10(自動拡張)
最初に5と指定していたからといって、それをオーバーしたらエラーになる、ということではありません。capacityはあくまで「最初に確保しておく領域」であって上限ではないので、超えた場合はこれまでどおり自動拡張されます。そこは安心して使ってください。
まとめ
List<T>のコンストラクターにint型の値を渡すと、内部の配列として最初に確保する領域(Capacity)を指定できます。Countが「実際に使っている件数」であるのに対し、Capacityは「内部的に確保している領域の件数」です。指定しなくても自動拡張されるので基本的には指定不要ですが、大量にAddすることがわかっていてパフォーマンスが出ない場合には、必要な件数を最初から確保しておくことでチューニングできる可能性があります。また、指定した値を超えてAddしてもエラーにはならず、自動的に拡張されます。Capacityの意味と使い方は、以上のとおりです。
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