現在MeasureFakeクラスでは,固定のMeasureEntityを生成して返却しているため,1つの値しかFakeデータとして取得することができません。今回は,外部のファイルを使って,任意のFakeデータを取得する方法を解説します。
Fakeデータをファイルから読み込む
まず,Fakeデータをファイルから読み込めるようにします。これにより,ファイルを差し替えれば,いくらでも異なるFakeデータを読み込むことができ,プロトタイプの表示や,ドメイン層,UI層のテストが簡単に行うことができます。
MeasureFakeクラスを次のように書き換えます。
using NDDD.Domain.Entities; using NDDD.Domain.Ripositories; using System; namespace NDDD.Infrastructure.Fake { internal sealed class MeasureFake : IMeasureRepository { internal const string FakePath = @"C:\NDDDFake\"; public MeasureEntity GetLatest() { try { var lines = System.IO.File.ReadAllLines(FakePath + "MeasureFake.csv"); var value = lines[0].Split(','); return new MeasureEntity( Convert.ToInt32(value[0]), Convert.ToDateTime(value), Convert.ToSingle(value)); } catch { ////Fakeファイルがない場合はデフォルト値を返す return new MeasureEntity(10, Convert.ToDateTime("2020/12/12 12:34:56"), 123.341f); } } } }
・まず,Fakeデータを置くフォルダーを決めます。これは任意ですが,わかりやすい場所がいいでしょう。今回はC:\NDDDFakeとしています。
・次にFakeデータのファイル名を決めます。今回はMeasureFake.csvとしています。必ずCSVである必要はありません。やりやすい方法で取得してください。今回はCSVで取得します。ファイル名も任意ですが,想定されるデータベースのテーブル名プラスFakeという文字列を組み合わせた名前がわかりやすいのではないかと思います。
・あとはCSVを読み込んで1行目をEntityにして返却しています。このメソッドはEntityを返却するので,1行を読み込んで返却していますが,リスト形式が戻り値の場合は,ある分だけListにAddして返却することになります。
・最後に,全体をTryCatchで囲んでいます。ファイルがない場合や,フォルダーがない場合はエラーになるので,その場合は今まで通りの固定のFakeの値を生成して返却するようにしています。Catchしたときに,エラーで停止したい場合はそのようにしてもかまいません。
指定したパスにファイルが存在し,カンマ区切りのMeasureFakeのデータがある場合はそれを返却するようになります。今はファイルがないので,実行すると,catchに落ちてくるので今まで通り,Fakeの値が固定で表示されます。
ファイルを用意する
CドライブにNDDDFakeというフォルダーを作成し,MeasureFake.csvファイルを作成します。作成したらその中身に次のように入力します。
MeasureFake.csvの中身
20,2020/01/01 12:34:56,300.232 |
このような感じで,カンマ区切りで,エリアID,計測日時,計測値を入力します。
値は任意の値で構いません。この状態で実行すると,CSVファイルで指定した値になることが確認できます。
プログラムの実行
NDDD.configのIsFakeの値が1になっていることを確認してから実行してください。
CSVで指定した値が表示されていることが確認できます。
こんな感じで,テストしたい値を設定して,CSVファイルを差し替えることで,ダミーデータをいくらでも変更してテストができるので,通常の流れの中では作りづらいデータも,簡単にテストすることができます。
#02_プロジェクトの追加
#03_依存関係
#04_ドメイン駆動開発でApplication層は必要?
#05_Domainのフォルダー構成
#06_Infrastructureのフォルダー構成
#07_WinFormのフォルダー構成
#08_Testsのフォルダー構成
#09_テスト駆動で実装するための事前準備
#10_テストコードとViewModelの追加
#11_テストコードを追加する
#12_ Repositoriesフォルダーの作成
#13_ Entitiesフォルダーの作成
#14_ Mockの作成
#15_フォーム画面の作成
#16_画面のコントロールデータバインドする
#17_Fakeを使ってタミーデータを画面に表示させる
#18_Fakeデータを画面に通知する
#19_PropertyChangedの方法を変更する
#20_Fakeとデータベースの値を切り替える方法
#21_Sharedクラスを作成する
#22_クラスを生成するファクトリークラスを作る
#23_#if DEBUGでFakeデータがリリースされないようにする
#24_DEBUGモードであることをわかりやすくしておく
#25_Factories以外から生成できないようにしておく
#26_Factoriesの呼び出しはViewModelで行う
#27_外部の設定ファイルの値で判断する
#28_Fakeデータを切り替える方法
#29_FakePathを設定ファイルとSharedに移す
#30_Fakeデータのバリエーション
#31_Shareクラスの活用方法
#32_ベースフォームを作る
#33_SharedにログインIDを記憶する
#34_BaseFormでログインユーザーを表示する
#35_ValueObject
#36_ValueObjectを作成する
#37_抽象クラスValueObjectを使用してイコールの問題の解消
#38_AreaIdにビジネスロジックを入れる
#39_AreaIdクラスをEntityに乗せる
#40_MeasureDateの作成
#41_MeasureValueの作成
#42_オブジェクト指向の自動化
#43_Repositoryの具象クラス
#44_例外処理
#45_例外の作成
#46_インナーエクセプション
#47_例外の欠点
#48_メッセージの区分
#49_エラー処理の共通化
#50_ログの出力
#51_タイマー処理はどこに置く?
#52_タイマークラスの作成
#53_StaticValues
#54_Logics
#55_Helpers
#56_Module
#57_トランザクションはどこでかける?
#58_特徴を見極める
#59_さいごに