今回はトランザクションをどこでかけるべきか?というお話をします。
データベースを使っていると,トランザクションをかける必要が出てきます。例えば受注ヘッダーと受注明細テーブルを登録する場合はトランザクションをかけて,データの不整合が起きないようする必要があります。
トランザクションはどこでかけるべきか?
今回のプロジェクト構成であれば,SQLServerにアクセスするのはInfrastructure層なので,Infrastructure層でトランザクションをかけるべきなのか?と考えるかもしれませんが,結果的にはViewModelでかけるのがいいです。要するに,使う側,クライアントコード側でかけます。
Infrastructure層でトランザクションをかけないほうがいい理由
Infrastructure層でトランザクションをかけると,融通が利かなくなります。OrderSqlServerクラスで発注テーブルと発注明細テーブルを登録し,そこでトランザクションをかけてしまうと,その後で在庫の更新や,発注履歴テーブルの更新をしたいケースでは,2重でトランザクションをかけることになり,うまく動作しません。要するに,使う人の好きなようにさせておいてあげないと,融通が利かないコードになります。
トランザクションのかけ方
WinFormプロジェクトに参照の追加
検索窓にtransaと入力し,System.TransactionsにチェックをいれてOKボタンを押下して,参照を追加します。
ViewModelへの実装
ViewModelなどのクライアントコードで次のように実装して,トランザクションをかけます。次の例ではSave処理の中で複数のテーブル更新がある場合に,TransactionScopeを生成し,usingでトランザクション範囲を囲みます。処理の最後でCompleteを呼び出します。
public void Save() { using (var scope = new TransactionScope()) { //ヘッダー //明細 //在庫 //履歴 //顧客情報 scope.Complete(); } }
これだけで成功したらコミット,失敗したらロールバックされます。このようにして,すべて使う側でトランザクションをかければ,使いたい人の自由にかけられるので,柔軟に対応することができます。
#02_プロジェクトの追加
#03_依存関係
#04_ドメイン駆動開発でApplication層は必要?
#05_Domainのフォルダー構成
#06_Infrastructureのフォルダー構成
#07_WinFormのフォルダー構成
#08_Testsのフォルダー構成
#09_テスト駆動で実装するための事前準備
#10_テストコードとViewModelの追加
#11_テストコードを追加する
#12_ Repositoriesフォルダーの作成
#13_ Entitiesフォルダーの作成
#14_ Mockの作成
#15_フォーム画面の作成
#16_画面のコントロールデータバインドする
#17_Fakeを使ってタミーデータを画面に表示させる
#18_Fakeデータを画面に通知する
#19_PropertyChangedの方法を変更する
#20_Fakeとデータベースの値を切り替える方法
#21_Sharedクラスを作成する
#22_クラスを生成するファクトリークラスを作る
#23_#if DEBUGでFakeデータがリリースされないようにする
#24_DEBUGモードであることをわかりやすくしておく
#25_Factories以外から生成できないようにしておく
#26_Factoriesの呼び出しはViewModelで行う
#27_外部の設定ファイルの値で判断する
#28_Fakeデータを切り替える方法
#29_FakePathを設定ファイルとSharedに移す
#30_Fakeデータのバリエーション
#31_Shareクラスの活用方法
#32_ベースフォームを作る
#33_SharedにログインIDを記憶する
#34_BaseFormでログインユーザーを表示する
#35_ValueObject
#36_ValueObjectを作成する
#37_抽象クラスValueObjectを使用してイコールの問題の解消
#38_AreaIdにビジネスロジックを入れる
#39_AreaIdクラスをEntityに乗せる
#40_MeasureDateの作成
#41_MeasureValueの作成
#42_オブジェクト指向の自動化
#43_Repositoryの具象クラス
#44_例外処理
#45_例外の作成
#46_インナーエクセプション
#47_例外の欠点
#48_メッセージの区分
#49_エラー処理の共通化
#50_ログの出力
#51_タイマー処理はどこに置く?
#52_タイマークラスの作成
#53_StaticValues
#54_Logics
#55_Helpers
#56_Module
#57_トランザクションはどこでかける?
#58_特徴を見極める
#59_さいごに