前回は例外についてのお話をしました。今回は例外の作り方について解説していきます。
Exceptionsフォルダーの作成
Domainプロジェクトを右クリックして,「追加」「新しいフォルダー」を選択します。
フォルダーの名前をExceptionsとします。
任意のExceptionの作成
それでは実際にExceptionを作成していきます。今回の例では,GetLatestを呼び出した先で,データが0件だった場合の例外を作ります。
Exceptionsフォルダーを右クリックして,「追加」「クラス」の順に選択します。
クラス名を「DataNotExistsExeption」とします。名前は任意の名前でOKですが,語尾に「Exeption」と付けたほうが命名規約上わかりやすいでしょう。データが存在しないときは,この例外が通知されるという事にします。
例外の実装
DataNotExistsExeptionに次のように実装します。
using System; namespace NDDD.Domain.Exceptions { public sealed class DataNotExistsException : Exception { public DataNotExistsException(): base("データがありません") { } } }
例外は必ずExceptionクラスを継承します。そうすると,マイクロソフトが作成した例外と自分で作った例外を同じように扱うことができます。引数なしのコンストラクタを1つ作り,継承しているExceptionに“データありません”というメッセージを引き渡しています。ここは,メッセージを引数で受けてそのまま引き渡しても構いません。
例外の通知
それでは例外を使ってみましょう。今回はRepositoryの具象クラスの解説で作成したMeasureRepositoryでデータを取得したときに,データがなかった場合は例外通知としてみましょう。
using NDDD.Domain.Entities; using NDDD.Domain.Exceptions; namespace NDDD.Domain.Repositories { public sealed class MeasureRepository { private IMeasureRepository _repository; public MeasureRepository(IMeasureRepository repository) { _repository = repository; } public MeasureEntity GetLatest() { var val1 = _repository.GetLatest(); if(val1 == null) { throw new DataNotExistsExeption(); } System.Threading.Thread.Sleep(1000); var val2 = _repository.GetLatest(); System.Threading.Thread.Sleep(1000); var val3 = _repository.GetLatest(); var sum = val1.MeasureValue.Value + val2.MeasureValue.Value + val3.MeasureValue.Value; var ave = sum / 3f; return new MeasureEntity( val3.AreaId.Value, val3.MeasureDate.Value, ave); } } }
SQLを実行したときに,GetLatestでNullが帰るように実装すると想定して,Nullの場合にDataNotExistsExeptionを通知しています。
ViewModelでの例外
このように実装すると,ViewModelのGetLatestを呼び出した部分で例外となります。
先述した通り,成功したとき以外は,次の行に行かないような実装となります。
Searchボタンクリックイベントでキャッチする
LatestViewのSearchボタンクリックイベントでは,catchしてメッセージを表示します。
using NDDD.WinForm.ViewModels; using System; using System.Windows.Forms; namespace NDDD.WinForm.Views { public partial class LatestView : BaseForm { private LatestViewModel _viewModel = new LatestViewModel(); public LatestView() { InitializeComponent(); AreaIdTextBox.DataBindings.Add("Text", _viewModel, nameof(_viewModel.AreaIdText)); MeasureDateTextBox.DataBindings.Add("Text", _viewModel, nameof(_viewModel.MeasureDateText)); MeasureValueTextBox.DataBindings.Add("Text", _viewModel, nameof(_viewModel.MeasureValueText)); } private void SearchButton_Click(object sender, System.EventArgs e) { try { _viewModel.Search(); } catch(Exception ex) { MessageBox.Show(ex.Message); } } } }
MessageBox.Showでメッセージを表示しています。
FakeでNullを返す
データなしのテストをするためにMeasureFakeでは強制的にNullを返却するように変更します。
using NDDD.Domain; using NDDD.Domain.Entities; using NDDD.Domain.Ripositories; using System; namespace NDDD.Infrastructure.Fake { internal sealed class MeasureFake : IMeasureRepository { public MeasureEntity GetLatest() { return null; try { var lines = System.IO.File.ReadAllLines(Shared.FakePath + "MeasureFake.csv"); var value = lines[0].Split(','); return new MeasureEntity( Convert.ToInt32(value[0]), Convert.ToDateTime(value), Convert.ToSingle(value)); } catch { ////Fakeファイルがない場合はデフォルト値を返す return new MeasureEntity(10, Convert.ToDateTime("2020/12/12 12:34:56"), 123.341f); } } } }
プログラムの実行
「データがありません」のメッセージが表示されることが確認できます。このような感じで,エラーを例外で表現していきます。
#02_プロジェクトの追加
#03_依存関係
#04_ドメイン駆動開発でApplication層は必要?
#05_Domainのフォルダー構成
#06_Infrastructureのフォルダー構成
#07_WinFormのフォルダー構成
#08_Testsのフォルダー構成
#09_テスト駆動で実装するための事前準備
#10_テストコードとViewModelの追加
#11_テストコードを追加する
#12_ Repositoriesフォルダーの作成
#13_ Entitiesフォルダーの作成
#14_ Mockの作成
#15_フォーム画面の作成
#16_画面のコントロールデータバインドする
#17_Fakeを使ってタミーデータを画面に表示させる
#18_Fakeデータを画面に通知する
#19_PropertyChangedの方法を変更する
#20_Fakeとデータベースの値を切り替える方法
#21_Sharedクラスを作成する
#22_クラスを生成するファクトリークラスを作る
#23_#if DEBUGでFakeデータがリリースされないようにする
#24_DEBUGモードであることをわかりやすくしておく
#25_Factories以外から生成できないようにしておく
#26_Factoriesの呼び出しはViewModelで行う
#27_外部の設定ファイルの値で判断する
#28_Fakeデータを切り替える方法
#29_FakePathを設定ファイルとSharedに移す
#30_Fakeデータのバリエーション
#31_Shareクラスの活用方法
#32_ベースフォームを作る
#33_SharedにログインIDを記憶する
#34_BaseFormでログインユーザーを表示する
#35_ValueObject
#36_ValueObjectを作成する
#37_抽象クラスValueObjectを使用してイコールの問題の解消
#38_AreaIdにビジネスロジックを入れる
#39_AreaIdクラスをEntityに乗せる
#40_MeasureDateの作成
#41_MeasureValueの作成
#42_オブジェクト指向の自動化
#43_Repositoryの具象クラス
#44_例外処理
#45_例外の作成
#46_インナーエクセプション
#47_例外の欠点
#48_メッセージの区分
#49_エラー処理の共通化
#50_ログの出力
#51_タイマー処理はどこに置く?
#52_タイマークラスの作成
#53_StaticValues
#54_Logics
#55_Helpers
#56_Module
#57_トランザクションはどこでかける?
#58_特徴を見極める
#59_さいごに