ここではdynamicを使ったReflectionのやり方を見ていきます。フォームに「dynamic」というボタンを追加し、これをダブルクリックしてコードを書いていきます。
図1 dynamicを利用したメソッドの呼び方(フォーム上のボタン一覧)
図2 デザイナーに配置したdynamicボタン
基本的な考え方
dynamicが使えるのは、大きく分けて次の2つの場面です。
・インスタンスを作って、その後に何か処理をするところ
・クラスのメンバーにアクセスするところ
インスタンスを作るところまでは今まで通りです。Assembly.LoadでアセンブリをロードしてGetTypeで型を取得し、Activator.CreateInstanceでインスタンスを生成する、という3行はこれまでと同じように書く必要があります。すでに書いてある同様のコードから、この3行をコピーして貼り付けます。
図3 既存コードのAssembly/Type取得・インスタンス生成の3行
varで受けるとobject型になってしまう
今までと違うのは、CreateInstanceの戻り値がobject型だという点です。varで受けて取得しても、object型にあるメンバーしか使えないため、ほとんどコードが書けません。たとえばMailServiceにあるSendメソッドを呼ぼうとしても、当然コンパイルエラーになります。「objectにそんなメソッドはない」と言われてしまうわけです。
図4 3行を貼り付けた直後のbutton33_Click
図5 instance.Send()がobject型のためコンパイルエラーになる(CS1061)
dynamic型で受けて解決する
この問題はdynamic型を使うことで解決できます。varで受けていた部分をdynamicに変更するだけです。インスタンスをdynamic型で受けると、Send()を呼び出してもコンパイルエラーが出なくなります。警告はいろいろ出ますが、コンパイルエラーは出ません。NULLの可能性があるという警告が出るので、「dynamic?」のようにクエスチョンマークを付けておくと、その警告も消えます。
図6 varをdynamicに変更する(IntelliSenseの候補)
図7 dynamic? instance = Activator.CreateInstance(t); instance?.Send();
こう書くと、普通にMailServiceをnewしてSendを呼び出すのと同じ感覚のコードになります。これでちゃんと動作します。
実行して確認する
instance?.Send();の行にブレイクポイントを置いて実行してみます。ブレイクポイントまで処理が進み、ステップ実行すると、出力ウィンドウに「send!!!!」と表示され、Sendメソッドが呼び出されたことが確認できます。普通のインスタンスにアクセスする感覚でアクセスできている、ということです。
図8 instance?.Send();にブレイクポイントを設定して実行
図9 出力ウィンドウに「send!!!!」と表示される
dynamicの注意点
もちろん、このインスタンスが本当にMailService型かどうかは実行するまでわかりません。引数として文字列などで受け取る場合もあるため、コンパイル時にはわからないわけです。わからないけれどもコンパイルは通してくれて、実行するときに解決してくれる、というのがdynamicの動きです。そのため、存在しないメソッドを呼び出すコードでもコンパイルは通ってしまいます。その代わり、実行すると例外になります。
図10 instance?.SendBBB();と書いてもコンパイルエラーにはならない
試しに存在しないSendBBBというメソッド名で実行してみると、「ユーザーが処理していない例外」として、Microsoft.CSharp.RuntimeBinder.RuntimeBinderExceptionが発生し、「’Anderson.Domain.MailService’ does not contain a definition for ‘SendBBB’」というメッセージが表示されます。そんなメソッドはない、ということです。
図11 存在しないSendBBBを呼び出すとRuntimeBinderExceptionが発生する
まとめ
通常のC#の利点は、静的に型が決まることでコンパイル時にコードが正しいかどうかをチェックしてくれる点にあります。しかし、実行時に文字列などを使って動的に処理を変化させたい場合はReflectionを使うことになります。dynamicを使えば、Sendのように普通のインスタンスにアクセスする感覚でコードを書いて実行できます。ただし、呼び出そうとしているメソッドが本当に存在するかどうかのチェックは行われないため、その点には注意が必要です。
目次
はじめに
A01_はじめに
A02_コースの概要
Type
B01_Typeクラスとは
B02_型からTypeを取得する
B03_自前の型からTypeを取得する
B04_インスタンスからTypeを取得する
B05_Typeのインスタンスは1つだけ
Assembly
C01_Assemblyとは
C02_Assemblyの生成_実行中のアセンブリを取得
C03_Assemblyの生成_アセンブリ名で取得
C04_Assemblyの生成_パスを指定して取得
C05_Assemblyの生成_呼び出し元を取得
C06_Assemblyの生成_型から取得
C07_すべての型を取得する
C08_publicな型だけを取得する
C09_名前を指定して型を取得する
C10_メタ情報の取得
インスタンスの生成
D01_インスタンスの生成
D02_インスタンス生成後の具体例
D03_空のコンストラクタがないとエラーになる
D04_Activatorを使ったインスタンスの生成
D05_引数ありのコンストラクタで生成する方法
ConstructorInfo
E01_コンストラクタの情報を取得
E02_パラメータの情報を取得
E03_コンストラクタの情報からインスタンスを生成する
E04_コンストラクタを検索して生成する
E05_public以外のコンストラクタを取得
E06_staticなコンストラクタがある場合の注意点
E07_コンストラクタのアクセスレベルを取得する
MethodInfo
F01_MethodInfo
F02_引数ありのメソッド呼び出し
F03_メソッドがオーバーロードされているときの指定方法
F04_GetMethods
F05_属性で取得する
F06_staticメソッドを呼び出す
F07_戻り値を取得する
PropertyInfo
G01_PropertyInfo
G02_GetProperties
G03_属性を使ったチェック
G04_汎用的なチェックメソッド
G05_CanWrite
FieldInfo
H01_FieldInfo
H02_public以外のFieldInfo
EventInfo
J01_EventInfoとは
J02_AddEventHandler
J03_EventInfoの注意点
J04_RemoveEventHandler
dynamicを利用したリフレクション
K01_dynamicを利用したリフレクション
K02_dynamicを利用したメソッドの呼び方
K03_オーバーライドされたメソッドの呼び出し
K04_メソッドの存在チェック
K05_dynamicを利用したプロパティへのアクセス
K06_dynamicを利用したフィールドへのアクセス
K07_dynamicを利用したイベントへのアクセス